適応障害
- HOME
- 適応障害
(以下は、厚生労働省の許可のもとHP知ることから始めよう みんなのメンタルヘルスを参考にしました)
適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。
また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。ストレスとなる状況や出来事を明確にし、その原因から離れると、症状は次第に改善します。でもストレス因から離れられない、取り除けない状況では、症状が慢性化することもあります。
そういった場合は、カウンセリングを通して、ストレスフルな状況に適応する力をつけることも、有効な治療法です。ある人はストレスに感じることがほかの人はそうでなかったりと、個人のストレスに対する感じ方や耐性も大きな影響を及ぼします。
つまり適応障害とは、ある生活の変化や出来事がその人にとって重大で、普段の生活がおくれないほど抑うつ気分、不安や心配が強く、それが明らかに正常の範囲を逸脱している状態といえます。
ただし、統合失調症、うつ病、気分障害や不安障害などの診断基準を満たす場合はこちらの診断が優先されることになります。適応障害と診断されても、5年後には40%以上の人がうつ病などの診断名に変更されていて、適応障害は実はその後の重篤な病気の前段階の可能性もあるといえます。
適応障害のサイン・症状
適応障害には、抑うつ気分、不安、怒り、焦りや緊張などの情緒面の症状があります。置かれている状況で、何かを計画したり続けることができないと感じることもあるでしょう。
また行動面では、行きすぎた飲酒や暴食、無断欠席、無謀な運転やけんかなどの攻撃的な行動がみられることもあります。子どもの場合は、指しゃぶりや赤ちゃん言葉などのいわゆる「赤ちゃん返り」がみられることもあります。不安が強く緊張が高まると、体の症状としてどきどきしたり、汗をかいたり、めまいなどの症状がみられることもあります。
適応障害ではストレス因から離れると症状が改善することが多くみられます。
たとえば仕事上の問題がストレス因となっている場合、勤務する日は憂うつで不安も強く、緊張して手が震えたり、めまいがしたり、汗をかいたりするかもしれませんが、休みの日には憂うつ気分も少し楽になったり、趣味を楽しむことができる場合もあります。
しかし、うつ病となるとそうはいかないことがあります。環境が変わっても気分は晴れず、持続的に憂うつ気分は続き、何も楽しめなくなります。これが適応障害とうつ病の違いです。持続的な憂うつ気分、興味・関心の喪失や食欲が低下したり、不眠などが2週間以上続く場合は、うつ病と診断される可能性が高いでしょう。
適応障害の治療について
まず、治療のひとつは 「ストレス因の除去」になります。「ストレス因の除去」とは、環境調整をすることです。たとえば暴力をふるう恋人から離れるために、ほかの人に助けを求めるなどがこれにあたるでしょう。ストレス因が取り除ける、あるいは回避できるものであればいいのですが、家族のように動かせないもの、離れるのが難しいものもあります。こうなるとストレス因の除去だけではうまくいきませんので、次のステップも必要となります。ストレス耐性は人それぞれ異なるので、「ストレス因に対しての本人の適応力を高める」方法や「情緒面や行動面での症状に対してアプローチ」を行うことも治療に含まれてきます。このような心理療法には、基本的には治療を受ける人自身が主体的に取り組むことが大切です。
また、情緒面や行動面での症状に対しては、薬物療法という方法もあります。
不安や不眠などに対しては安定薬、うつ状態に対して抗うつ薬などを使うこともあります。
ただし適応障害の薬物療法は「症状に対して薬を使う」という対症療法になります。根本的な治療ではありません。
つまり適応障害の治療は薬物療法だけではうまくいかないことが多いため、環境調整やカウンセリングが重要になっています。