茅場町の心療内科・精神科 茅場町メンタルクリニック

ダイアモンド博士 ヒトの知恵 ~NHK放送より~

NHK番組の「ダイアモンド博士 ヒトの知恵」の中で、ダイアモンド博士が『アロペアレンティング(代理養育)(=親以外の人たちが子供の面倒を見る)』という子育て方法について紹介していました。
ある文化人類学者によって、ある民族の中で「一人の子供が親以外の8人の大人に、一時間に8回も抱っこされる」という風習が観察されたそうです。そのような環境で養育された子供は、そうでない場合に比べて成長が良いという結果が見られたそうです。
通常、特に現在の日本では、核家族化などの現象により、一人あたりの大人の体力や時間的余裕が少ないため、成長過程の子供の要求よりも大人の都合の方が優先されることが多いかと思います。
例えば、仕事のことで頭がいっぱいであったり家事で忙しかったりする時に、赤ちゃんがやたら泣いたり、子供がしつこく「ねえ見て見て」「○○していい?」などと、一見、一方的に話しかけてくるように思える場面のことでしょうか。。。しかし、それが、アロペアレンティング(代理養育)という養育環境ですと、一人の子供に8人の親がいることになるわけですから、成長過程の子供の要求に対して常に何かしらのコミュニケーションが取れていくわけなので、その子供は安心感で満たされながら学んでいくという成長過程を得やすいということのようです。
さて、抑うつ状態の治療過程でも、まずは「不安の除去」や「休養」が大切だといわれています。その土台があって初めて、基本的安心感(自分は自分のありのままでよいのだという確かな気持ち)が満たされ、「自信」や「やる気」が出てくるわけです。自己実現していく途中でもし挫折体験があったとしても、ベースに基本的安心感があるほうが、「いや、僕は大丈夫」「私は乗り越えることができる人間だ」というような感情に支えられているので、底力や根性も伴い、次のステップへと成長・適応していけるわけです。
心療内科、精神科の分野は、生物学や科学的根拠以外にも、現代社会の問題点や、子育て・人の成長、哲学や宗教(信念や信じる気持ち、周囲や過去の偉人から教わる態度)などと離して考えることができない、統合的に多方面からアプローチする必要がある分野であります。とても興味深く奥深いと感じます。